PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
PCOSの特徴と原因について
本来の排卵では初期に複数の卵胞が育って、卵胞が排卵に向けて育つ段階で「主席卵胞」と呼ばれるその月に排卵する卵を1つに絞り残りの卵胞は「自然消滅」することで1つの卵胞が排卵期を迎える事ができます。
しかし以下の原因↓
①ホルモンバランスの乱れでLH(黄体形成ホルモン)がFHS(卵巣刺激ホルモン)よりも過剰に分泌されることで卵胞の育ちが阻害されてしまい排卵障害になる場合
②インスリン抵抗性によりインスリンの作用が低下することで卵巣の卵胞を育てる機能が不調をきたす。(太りやすい体質や糖尿家系により排卵が上手くできなくなると言われます)
などがあると、両卵巣に小さな卵胞がたくさん育ってしまい排卵が困難になります。
これを「PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)」と呼びます。

よく、
「PCOSの方は肥満・体毛が濃い・ニキビが出来やすい」
と言われますがこの特徴は②のインスリン抵抗性や男性ホルモンの影響によるもので、実際は②よりも①の特徴が特に無い「排卵障害」のみのPCOSが多くみられます。
インスリン抵抗性以外のPCOSの特徴とは?
インスリン抵抗性ではないPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の特徴とは・・・
・痩せ型で食事はきちんと摂取しているが太る事はあまりない
・仕事や勉強が忙しくストレスや考え事が多い
・十分な睡眠や休息を確保できていないため疲れやすい
などがみられやすいです。

月経周期やホルモンとしては・・・
・AMH(抗ミュラー管ホルモン)が高値
・月経周期が30日以上あり周期は不規則、排卵までに時間がかかる
・排卵検査薬をするとダラダラ陽性が続く
・おりものが長期間でている
などの特徴がみられます。
排卵障害が強くなると月経周期が60日以上になる場合もあり、自力で排卵や月経を起こすことが困難になるとピルなどを使って「リセット」と呼ばれる強制的に月経を誘発する処置をします。

現代社会はパソコン作業などの「頭脳労働」による「脳内疲労」が強いため脳下垂体からの性腺軸と呼ばれるホルモン指令が乱れやすくなります。その事で女性ホルモンがダメージを受けやすくなり、これがPCOSの引き金になっているように感じます。
妊活の場合PCOSはどうする?
妊活を急がず体質を改善したい場合
妊娠を急がずゆっくり女性ホルモンを整えたい場合は
「漢方薬」
を使って月経の乱れを整える事をおすすめします。

中医学では体質チェックにより体のバランスを相対的に考えますので・・・
「ストレス性」・・気滞タイプ(肝鬱気滞)
「インスリン抵抗性」・・痰湿タイプ
「慢性疲労」・・腎虚タイプ
「痩せ型」・・・気血両虚タイプ
など、病気を診るだけではなく「その方の特徴」をとらえて不調の根本から治す方法をとります。

実際に月経が半年以上来ない方が漢方だけで定期的に自己排卵が出来るようになったお客様も沢山いらっしゃいます。
妊娠を急いでいる場合は?
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は
「卵が一度にたくさん育ってしまう」
という特徴があるため、これは実はメリットとして・・・
「数多く採卵出来る可能性が普通の不妊症患者さんよりも高い」
という点があります。
そのため、排卵障害があるカラダでも毎回月経を自力で起こせる場合は
「体外受精」
「顕微授精」
へのステップアップをおすすめしています。

実際に、卵巣刺激はさほど強くなくても10個以上の卵子を採卵できる方が多く採卵に至ってはしっかり結果を残すことが出来る方がとても多い事が特徴です。
まとめ
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を持っている女性の場合は排卵障害になっているためタイミングを取る事が難しいのですが、不妊治療でステップアップすると採卵数が多くなり結果が出やすいのが特徴です。
ただストレスや生活習慣の乱れで女性ホルモンが乱れていることが根底にある場合が多く、健康的な妊娠や出産をするためには・・・
・生活習慣の改善
・ストレスの緩和
・漢方などでカラダを整える
など健康な妊活を目指すことも大切です。

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